基本機能編では、Rに馴染むための様々な処理を採り上げる。どのようなツールでも言えること(ソフトウェアに限らず)だが、ある程度のツールへの慣れがあることは、その後のツールの「腕磨き」には重要である。 もちろん、いきなり監査現場で使ってみるというつわものを否定するものではない。但し、現場でツールの練習をする余裕などないことくらい、誰でも分かっている。むしろ、現場では「今まで通り」の仕事をしながら疑問を感じて、今後の業務改善を目指したR学習のための「ネタ」を探すのもよいだろう。 !!!まずはRに触ってみよう Rで何ができるのかと尋ねる方には、話を聞くよりまず触ってみることをお勧めする。幸いにも無償で入手できるしインストールも簡単かつファイル容量も小さいので、入り口のバリアは著しく低い。また、Rに関する日本語の入門書もたくさんあるので、勉強ネタにも事欠かないから、何らの躊躇も不要である。 ソフトウェアに限らず道具類について一般的に言えることであるが、 :習うより慣れろ: *たくさん失敗して覚える *道具から学べることもある :道具はあくまでも手段: *目的をもつ(本テキストでは監査リスクを下げること) *目的にあった道具を使うこと *道具を使うことを目的化しない :道具の限界は自分の限界: *自分の能力の限界を知りそれを超えるには新たな道具を習得すること *道具の限界を道具のせいにするな(カンナで釘が打てないことをカンナのせいにするな) *一つの道具が使えることに慢心するな(釘しか打てない大工になるな) 人間の動物との違いは道具を使って工夫できること{{fn 使うだけなら霊長類も簡易な道具を使うし、作るなら鳥類の営巣も例として挙げられる。}}である。そして道具を使うことによって利便性を享受し、道具を発展させることで文明を築いてきた。 「コンピュータ(人工知能など)が何々してくれる」という表現には注意したほうがよい。コンピュータは人間が工夫するために用いる道具であり、人間の意思を形にできても、(意を汲取って)何かをしてくれるわけではない。もしそう感じるときがあれば、誰かが工夫したものを使って自分が便益を享受しているときだ。コンピュータでゲームをする時には、開発者の意図に思いきりはまり込む方が楽しめるだろうが、こと監査においては自分が恩恵をうけてよい部分と工夫をしなければならない部分とは峻別する意識を常に持っておくべきだ。Rの豊富な機能を実務においてどう活かせるかを工夫するというスタンスでこのテキストは用意している。 以上の原則は忘れないようにしよう。 {{include 少し触れてみる}} !!!R使用上の注意 {{include R使用上の注意}}