!!!コントロールの中からキーコントロールを識別する手順 ここでは、キーコントロールを識別するにあたっての「視点」を記述しています。このサイト設置の主たる目的は、本章の議論を行なうことにあります。 !!取引から財務報告が作成されるまでの過程を理解する ::財務報告作成過程に対応するコントロールレベル分類 決算に近いほど重要⇒端的には、最終試算表から有価証券報告書への転記が誤ればそれだけで致命傷となる ++財務諸表レベル ++月次決算報告レベル、週報、日報レベル ++仕訳(勘定)処理レベル ++取引処理レベル !!統制目標の決定 ::重要な勘定を決定する 日本の基準は事業に係る重要な勘定[一般に三勘定と言われ、バリューチェーンから生ずる売上・在庫・顧客に係る勘定]+特に重要なリスクのある勘定となる ::重要な勘定が「適正」と主張できるための要件(=統制上の要点)を決定する 一般に統制目標とかアサーションとも言われているが、実施基準の統制上の要点は「重要な影響を及ぼす」がついている分より限定的。以下、統制要点という。 ::統制要点に関するリスクを想定する リスクとは統制要点が確保されないことそれ自体を言うが、その原因ではないことに注意。 **例○:売掛金が過大に表示される **例×:売掛金の金額を誤って過大に入力する(←原因たるヒューマンエラー) !!その統制要点の確保に責任ある組織と責任者、及び、その組織の業務目的を識別する ::活動や制度の棚卸 想定したアサーション(統制要点)について、それを確保するためにどういう活動を行なっているか質疑応答(probing)しながら、統制活動を掘り起こすが、そのポイントは、 ++要は、どうなっていればその業務における統制要点は確保されている ++それは何を見れば分かるのか(どう記録されているのか) !!証拠の想定 ::会計目的(企業活動による財産の変動を貨幣数値で表現すること。)に着眼する。 **企業活動が表れているもの **経営者の意思決定と判断に関する事項=取締役会議事録、稟議書など **個々のオペレーション=契約書、取引証憑など **財務報告をブレークダウンして至る取引明細=財務データの中では最も企業活動に近い ::活動の事実と財務報告を橋渡しする役割をする証拠を探す **会計情報の適正性を最も端的に説明し得る証拠を想定する。 **統制が存在しないと仮定したときに、組織の業務目的の関連の中で、勘定残高の各アサーションを最も強力に保証しうる監査証拠(取引証憑)を想定する。 !!コントロールの相対化による識別 数多あるコントロールの中からキーとなるコントロールを識別するには、虚偽表示を予防発見する力がより強いコントロールを選ぶ相対的視点が必要となる。 具体的には、「相対化による識別」を参照。 !!リスクとの対応を検証する ::上記をRCMに取り纏める ++把握した重要なリスクが全て、上のキーコントロールで軽減されていることを確認する ++上のキーコントロールに対応する重要なリスクが存在しない場合には、そのコントロールはキーコントロールではないからリストから外す ---- '''※ちょっと一言''' *内部統制監査制度は、本質的には、これまで「勘」という暗黙知であったリスクとコントロールの関係を形式知という形で、経営者と監査人で合意させることを意図させることが目的で導入されたとすると、この議論の重要性は際立つと思います。 - shibayan (2008年03月16日 11時12分47秒) *確かに制度を「和の精神」で解釈すれば、いままで曖昧であった二重責任を明らかにした上で共通の目的を目指すいいきっかけにはなりますね。 - なわ (2008年03月16日 13時48分34秒) {{comment}}