リスクに対する統制目標の設定
統制目標(経営者アサーション)と財務報告との関係
財務報告観点からのアサーションは一般的には以下のような項目が代表的なものとして整理されている。
- 網羅性
- 実在性
- 正確性
- 評価の妥当性
- 権利義務の帰属
- 表示の妥当性
しかし、こういった項目だけを頭に入れてアサーションを考えようとすると、少しでも真剣になれば(つまり勘でさらっとではなくまじめになればなるほど)、訳がわからなくなる。
たとえば、「網羅性」を取り出しただけでも次のような色々な概念が思い当たる。
- 全ての取引が帳簿に記録されている
- 資産の評価が漏れなくされている
- 資産や負債が漏れなく貸借対照表に計上されている
- 必要な開示項目に漏れがない
アサーションの解釈に当たっても「財務報告項目(情報)」という観点を常に念頭において考える必要がある。
アサーションはむしろ複合させてシンプルに理解すべし
財務諸表レベル
- 全般
- 会計制度に定めた方法により適切に区分ないし表示・注記されていること。
- 表示方法や区分は企業活動の実態に応じて明瞭であり、比較可能性が確保されていること。
- 資産項目
資産が有体財産や権利等の裏付けを持って計上され、なおかつ、それが将来の便益を生み出す源泉として適切に評価されていること。
- 負債項目
将来の企業価値の減少をもたらす事象が全て把握され、適切に評価された上で、負債として計上されていること。
- 収益項目
企業活動によってもたらされる価値の提供の裏付けをもって計上されていること。会計制度に定める方法により測定がなされていること。
- 費用項目
企業活動によってもたらされる価値の減少の裏付けを持って計上されること。将来の価値の減少のうち、当期に帰属すべき部分は、会計制度に定める方法により測定がなされていること。
取引レベル
- 網羅性
可能な限り全ての財産とリスクの異動が把握されていること。
- 実在性
記録される取引は、会計取引として扱われるだけの実体があること。
- 正確性及び評価
記録される取引要素は、事実と相違なく記録されること。また、会計基準に定めた測定がなされていること。
- 期間帰属・権利義務
会計基準に定めた認識がされていること。
- ※ちょっと一言
【本文脚注】