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企業統治と内部統制


企業統治とは

企業統治とはCorporate Governanceを邦訳した言葉で、アカウンタビリティと並んで分かりにくい概念である。日本語の語感から伝わってくるものは、企業を治める方法論のようなものであるが、いま一つピンと来ないのが正直なところだ。色々な定義はあるようだが、ここでは内部統制を理解する上で分かりやすく定義しておきたい。

 企業の存在理由

企業が企業組織として存在しうるのは、その活動によって生み出される生産物が世間に何らかの有意性を持って受け入れられるからである。その全ては問題解決というキーワードで説明できるはずだ。その意味では、営利企業に限らずNPOや政府、学校、地域ボランティア集団などの組織も何らかの問題解決を目して存在していることは同様である。

とはいえ、生産物あるいは生産活動が逆に問題を生み出すこともある。環境問題などはその典型であるが、通常は問題が発生すれば、それを解決すべく組織が自ら対応するか、外部的な圧力(取引の停止、社員の自主的退職、不買運動、デモ・抗議活動、行政指導等)によって解決が図られることが通常である。しかし、こと上場企業となるとその活動がもたらす社会的影響や経済的影響が大きく、問題が発生してからの事後的な圧力だけではその解決に時間がかかりすぎたり、既に解決できない問題となったり、あるいは解決にコストがかかりすぎてしまいあえて問題を甘んじて受け入れざるを得ないこともあるだろう。

 企業統治の役割・目的

そのような事態が発生しないように、換言すれば企業の主体的な活動を認めつつもその活動が社会に対して負の影響を与えないように、いわば企業活動を監視し改善させていくための諸制度や行為を包摂する概念が企業統治であり、企業を「よりよいもの」に向かわせるための企業外部からの力学的作用をいう。

企業活動を組織による法律行為と捉え、世間から経営者に付託された責任を経営者が誠実に執行しているかどうかを、法律行為として監視する仕組みを企業統治ということもある。これは、企業意思決定における議決権所有者である株主総会を筆頭とした取締役会、監査役会、代表取締役、監査役といった法律的立場を通じた議論にある。通常、企業活動は経営者に委託されたものと解されているため、企業のあらゆる生産活動は経営者の意思として法律行為がなされると解される。それは、企業理念の確立や戦略の立案、事業計画という形で表現されていき、外部から見た企業を形作っていくことになる。

 内部統制との関係

経営者は世間との受託委託関係(法律的には株主総会からの委託)を効率的かつ効果的に執行するために、組織に内部で役割を分担させこれを適切に執行し、またそれを監視する仕組みを構築し運用しなければならない。これら一連の仕組みが内部統制である。もっと端的に言えば、経営者を通じて企業活動を監視する仕組みが企業統治であり、経営者が受託した自らの責任を果たすための仕組みが内部統制である。

【本文脚注】


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