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ビジネスサイクル

【私的草稿】通信事業会計

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 通信事業のビジネスサイクル

あらゆるビジネスにはそれぞれに、市場への登場から、成長を経て、安定期に入り、やがて衰退、撤退へと向かう固有のビジネスサイクルがあります。社会のインフラを担う通信事業は、通信を担う技術の発展トレンドと社会における利用態様(市民生活)のトレンドとの組合せの変化がビジネスサイクルとなって現れると考えられます。

音声通話(つまり電話)の時代をとりあげても、交換手を呼び出して地区と番号を伝えて電話を繋げてもらう手動交換の時代から、ダイヤルした番号を交換機が判断して相手を呼び出す機械交換という変化がありました。さらに機械交換であっても、物理的に機械がカチャカチャと動いて繋げるクロスバー交換機、プログラム制御されたリレー回路を用いて繋げる電子交換機、コンピュータ制御により伝送信号までもデジタル化されたデジタル交換機というように交換の技術は変化しています。またデジタル交換機になってからは、データ通信と音声通信が同じ回線上でできるようになりましたが、これとほぼ同じ頃に音声通信網にモデムを接続してデータ通信ができるようにもなっています。

その後、データ通信にはISDNやダイヤルアップモデム通信以外にADSLという技術も用いられるようになり、やがてADSLの伝送容量がアップするに連れて、これに音声を重畳させることもできるようになっています。

要素技術の変化の例としては、コンピュータの心臓部であるCPUに用いられるマイクロプロセッサの処理能力の向上(ムーアの法則)が典型として挙げられますが、いくらプロセッサの処理が速くなったとしてもそれを活かせるだけのオペレーティングシステムやアプリケーションソフトがなければ、社会にはさほどのインパクトはありません。また、いくらそういったソフトウェアが出てきても、それが実際に活用されなければ、社会へのインパクトはありません。技術の発展が社会の変化を促し、それがまた投資を集めることによって、新しい技術の開発に繋がるという流れがあります。つまり通信事業のビジネスサイクルは、技術変化や応用形態の変化によって影響は受けるものの、最終的には社会における利用態様や生活形態の変化がサイクルを生み出していると考えられます。

技術現象としてみれば、アナログ電話⇒ISDN⇒ADSL⇒光通信

これを社会現象として捉えれば、大きなサイクルは、電信⇒電話⇒通信という流れをたどっているでしょう(イノベーションサイクル)。

イノベーションは、要素技術の進歩だけでは実現されません。むしろ人々の生活態様の変化そのものがイノベーションであると言えます。


最終更新時間:2007年12月01日 18時16分52秒