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会計の測定対象と表現方法

【私的草稿】通信事業会計

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このページの見出し構成


1-2-3 会計の測定対象と表現方法

 1-2-3-1 会計に内在するジレンマ

事実の客観性と価値の主観性
測定の比較可能性と合目的性
報告の品質とスピード
管理コストと便益

 会計情報の有用性と会計リテラシー

企業経営者、部門管理者など企業内部で会計情報を利用する人たち、債権者、投資家など企業外部の利害関係者、利害関係は直接ないものの情報を分析加工して提供するアナリストなど、それぞれにとって「有用な会計情報」という意味は異なってくる。全てに共通して言えることは、会計データを見る人にそのデータの持つ意味が理解されていなければ、データを提供する側がいくら「有用だ」と考えても、また会計制度がいくら開示を担保しても、そのデータは役に立たない。

卑近な例で、健康診断書を眺めると、結構難しいアルファベットが並んでいる。分かりやすく、血圧という項目を見ても「75/125」と書いてあれば、それが最低血圧と最高血圧を示すものだと分かっていなければ、それは単なる数値の羅列になってしまう。血圧を示していると分かっていても、正常値の範囲を年齢平均データや自己の過去の記録と比較しなければ、異常性が分からない。また、血圧というデータが異常性を示していても、それが循環器系の病気を示唆するデータであるということを知っていなければ、たとえ異常値が出ても、それを放置してしまうだろう。さらに、データが病気を示唆していても、見る人がそれをリアリティ(現実感)をもって見ていなければ、医者への相談や治療というアクションには繋がらないのである。

会計情報は従来から「外圧」によって制度的に開示が求められるものであるという感覚を持っている企業は、これに対応するように内部制度を構築していっている。ディスクロージャの本来の趣旨は、既に存在している情報を開示するというところにあり、求めている情報は「あって当然」という前提がある。

社会における企業会計の捉え方は社会情勢の変化によって変わっていくものであるから、企業側もそれを常に意識しておかねばならない。自社の現状(将来への示唆を含め)を示す有用な会計情報とは何かということを考える能力が会計リテラシーであり、その全社的向上を図るのは経理部門の中心業務であり、それを求めるのは経営者と外部の情報利用者だけでなく、企業内部で平素の業務に携わって会計データを利用している人全てである。


最終更新時間:2007年12月01日 14時22分47秒