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チャレンジ

auditR

 Rの学習におけるチャレンジ

監査の観点 データ処理の観点 必要なナレッジ(知識と技能)
実際の対象 対象を表わすデータ
分析目標 データと目標とをつなぐツールの選択
目標に応じた分析手法 データを利用するための具体的なツールの取扱
手法の統計理論的裏づけ ツールの仕様

具体的に学ぶ

Rを自習して最も感じたことは、やはり具体的事例を通じて学ぶことの大切さです。「あ、なるほど」という感覚は、リアルなデータであるほど強く得られます。監査は判断業務なのでこの感覚はとても大切です。

Rの本でよくあるように、デモ用のデータを使ってもRの機能を覚えることはできますが、単なるツールの解説だけになってしまい「納得感」がなかなか得られません。Rの解説書にはRに標準添付されているデモデータ(cars, irisなど)を用いて作られています。正直に言えば、あまり面白い事例ではありません。

いうなれば、ツールを使って出てくる結果に対して「なるほど」と実感を得られる理由は、そのデータの対象を知っているからこそではないでしょうか。

一方で、経済統計などの解説はその分析に使ったツールが何であるか関係がありません。したがって、分析のハウツーは分かっても具体的なツールの使い方となかなかつながりません。

これは監査実務から監査論を導き出すことはできても、監査論から監査実務は学べないことと同じです。監査は実践知である所以です。

実践的に学ぶ

リアルなデータを使ってRを覚えるには、実践現場で手を動かしながら、一連の所作を活用を通じて学ぶのが一番です。

逆に、実際のデータを使って研修等を行うことは、監査人に課される守秘義務の分厚い壁があり非現実的です。

医療データなどは、患者の属性だけを残して個人を特定できる住所や名前などの情報を外して匿名性を確保した上で学会などで発表する方法が採られています。

監査においてはこれもまた難しい方法です。というのも、企業情報は公開されているので、逆に公開情報から会社名が特定されてしまうことがあるからです。会社をイメージするのに最も大事な、業種、売上高、利益の3つがそろえば、簡単に分かってしまいます。

以上は極端な例ですので、ミクロなレベルではありえない話ですが、監査の世界でも具体的事例を通じた学術研究を進めるためには、企業データの取扱についての共通ルールを定めて社会的に有意義な事例をもっと共有しやすくすることも必要な取組ではないでしょうか。

そのような状況から、いまのところ実践データを使って実践的に学べる場は、監査現場ということになります。

Rの学習法

Rの機能は座学で学びつつ、「こういうことができる」という感覚を掴んで、なるべく実践データを使ってみて具体的な適用場面や使い方を覚えて実践知を磨いていくというのがよい学習法でしょう。

身近にRに詳しい方がいれば御の字ですが、そのような恵まれた環境の方はごくわずかですから、参考文献を読んだりWEBサイトを探し回って、適切な方法を見つけ出すことになるでしょう。

この一見遠回りな学習法こそ、実は長い目で見れば、幅広く奥行きのある知識の習得に貢献し、結局、それが監査における統計の応用を学ぶことに通ずるのではないでしょうか。


Last updated 2016-01-24 | auditR (c) N.Nawata