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異常値

auditR

[用語]

異常値

監査においては、通常の取引形態では発生しえないような金額や取引条件が検出された場合、これを「異常性がある」とか「異常値」と呼びならわしている。

しかし、そもそも「異常」という言葉には「通常ではない」という以上に「正常ではない」(=なんとなく悪い)という価値判断が含まれているが、監査の現場では実際には特に大きな値を短絡的に「異常」と決めているわけではなく(つまり用語の定義が曖昧なので)、これに基づいて詳細に内容を検討するきっかけとするという意味で用いているに過ぎない。

監査手続上は、異常値を「異常だ」とするのは、判断事項であり、機械的に異常性が定められているわけではない。「不正の兆候」などとも同様の考え方である。

これに対して、統計では「外れ値」と「特異値」という考え方があり、監査で異常値と呼んでいるものの考え方を明確に説明している。

[用語]

外れ値

多数のデータをヒストグラムで表現した場合、大きな集団が示す値の範囲とは外れたところに個々に少数のデータが存在することがある。集団から外れているということで、外れ値とされる。

外れ値は、統計では入力ミスや異質データの混入などの原因も考えられるので、探索が必要とされる。また、何らかの重要な特質を示す可能性が考えられるので、新たな「発見」の可能性もある。監査上はこれらの考え方は、そのまま誤謬や不正の可能性を検討する対象とされるだろうが、何を外れ値とするかは、監査人の判断事項で実務上は何らかの閾値を用いざるを得ない。

統計では、四分位数(箱ひげ図)を把握して第3四分位数と第2四分位数の値の差(=四分位範囲)の上側1.5倍、下側1.5倍の範囲に入らないデータを外れ値とする基準がある。あくまでも便宜上の方法論であり、外れ値とする絶対的な基準ではない。

  • 下側の外れ値<第1四分位数―1.5×四分位範囲 = 下側境界(lower fence)
  • 上側の外れ値>第3四分位数―1.5×四分位範囲 = 上側境界(upper fence)

参考 熊原・渡辺(2013)

[用語]

特異値

外れ値の基準が四分位範囲の上下から四分位範囲の1.5倍以内に入らないという扱い方があるが、これに類似して特異値は3倍以内に入らないデータを特異値とする基準がある。これも外れ値と同じく便宜上の基準を提供する方法であり、絶対的なものではない。

  • 下側の特異値 < 第1四分位数―3×四分位範囲
  • 上側の特異値 > 第3四分位数―3×四分位範囲

参考 熊原・渡辺(2013)


Last updated 2016-01-20 | auditR (c) N.Nawata