「実施基準」におけるキーコントロールの定義
いわゆる「実施基準」においては、キーコントロールという言葉は用いられておらず、それを直接定義したものはない。しかし、以下の記述部分がいわゆるキーコントロールを定義した部分であると考えられる。
- 【?3(3)】
- [経営者は、]・・・・財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点(以下「統制上の要点」という。)を選定し、当該統制上の要点について内部統制の基本的要素が機能しているかを評価する。
- 【?4(2)?イ.d.】
- [監査人は、]・・・・経営者が虚偽記載の発生するリスクを低減するために中心的な役割を果たす内部統制(統制上の要点)をどのように識別したかを把握する。
以上から読み取れることは、実施基準で用いられている「統制上の要点」という用語を通じて、経営者と監査人はそれぞれの立場において、「財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす」統制、「虚偽表示リスク低減に中心的な役割を果たす」統制を選定、識別しなければならないということである。換言すれば、単に手広くやればよいということではなく、「要点」を絞らなければ実施基準に則して評価・監査を実施したことにならないということである。
【本文脚注】