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月次管理とキャッシュフロー計算書の変更点

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!!!1-4-5 月次管理とキャッシュフロー計算書

月次決算は最近では当たり前のように実施されるようになりました。
これは、給与の支払や料金の請求といった会社のビジネスサイクルが月次で動いているからで、何も月次でなければならないという理由はありません。例えば、毎日のように取引のある資金残高などは毎日締める必要がありますし、一般経費の支払などは月に数回に分けている会社も見られます。
退職給付会計などは年に一回だけ計算を委託するケースが多いため、正式には年に一回だけということになります。

月次決算は公表されるものではなく企業内部で利用されるため、確定決算と比較してやや簡便な方法が採られます。また、これといって決まった方法は存在しません。
しかし、最低限のこととして次のことを行う必要があるでしょう。

*月次業績の把握
*月次資金の移動の把握と翌月以降の資金繰り状況
*設備投資の把握
*簡易バランスシートの作成

四半期決算の開示が強制されるようになって、月次決算の早期化にも拍車がかかっているのではないでしょうか。

四半期決算は、決算日から開示までに最長でも45日程度と作業時間が少なく、月次決算をタイムリーにきちんと行っていなければ、四半期の分析などを十分にできない可能性があります。逆に月次での業績把握をタイムリーに行っていれば、四半期は単に3ヶ月の足し算でしかないので、さほど苦にはならないでしょう。



以上の議論を経て分かることは次のとおりです。
本章では以下の点を議論します。
**月次決算では、売上・原価に関わる債権債務を認識しなければならない。
**EBITDAによりCFを管理できるが、債権債務の収支バランスを把握し監視しておく必要がある。
**また、EBITDAが対象とする原価には設備投資に回されるリソース部分は含まれていない。このため、特に債務の認識の必要性から設備投資も掌握しなければならない。
**また、EBITDAが対象とする原価には設備投資に回されるリソース部分は含まれていない。
**このため、特に債務の認識の必要性から設備投資も掌握しなければならない。

つまり、最終的には、資金、取引債権債務、設備、金融債務などが計上された、簡易なバランスシートが作成できることになります。またこれが作成できなければ、どこか片手落ちであり月次決算を行ったことにならないことが分かります。

2004年05月03日

!!1-4-5-6 事業別投資における本支店勘定と減価償却の利用方法

事業投資の管理において大切なことは、当初の目論見どおりの投資効果が現れているかどうかをきちんと測定することです。
ややもすると、黒字だからよい、赤字だから悪いという短絡的結論による事業評価がなされ、最悪の場合、株価が下落するなどして市場から思わぬしっぺ返しを食らうことになります。

投資の回収における一つの試案は、今までの議論でやや横に置いた感のある減価償却を利用することです。本支店会計の技法を使えば、制度会計との連携を保ったまま投資管理会計を会社の会計フレームワークに織り込むことができます。
それは、投資意思決定時に用いた回収期間及び回収額を、その事業部門の減価償却費として計上することです。
一方で、制度上の減価償却は本社部門で計上します(もちろん事務処理は各部門で行いますが)。

この方法を採用すると、次のような計算結果を反映した貸借対照表が得られます。
事業部門においては、投資の結果として、
EBITDA>減価償却
となれば計画達成ですが、
EBITDA−減価償却=部門の利益
ですから、結果的に事業部門の貸借対照表に「剰余金」が計上されます。
一方で、
EBITDA<減価償却
となれば計画未達成ということですから、
EBITDA−減価償却=部門の損失
ということになり、結果的に事業部門の貸借対照表に「欠損金」が計上されます。
上記の部門利益ないし部門損失は、当然計画と実績との誤差も含まれますから、単年度だけで見ると議論は「見込み違い」で終わってしまいますが、数年かけて貸借対照表で結果を見れば、「見込み違い」なのか「失敗」なのかは一目瞭然です。




これの前提として投資予算に相当する金額をあらかじめ本社から事業部に対する資本支出として計上します。

つまり、本社では制度決算上の仕訳として、
事業投資(本支店) / 現金
一方、事業部門では、
固定資産 / 事業資本金(本支店)

という仕訳を立てます。
そして、決算時には、事業部門にて
減価償却(管理) / 固定資産
という仕訳を立てる処理を行います。
また、残余の剰余金を一定ルールに基づいて本社に「配当」します。
事業部では、
本社への配当金 / 累計EBITDA
本社では、
累計EBITDA / 事業部配当金
これにより、本社ではどの事業で利益をあげることができたか、事業部では当初計画を達成したかどうかが、それぞれで一目瞭然となります。
累計EBITDAは、事業部では事業資本金への振り替え、本社では事業投資勘定への振り替えに充てることもできます。両者の違いは、事業投資勘定ないし事業資本金勘定残高に、社内配当金の計算根拠としての意義を持たせた際に、社内配当金が増加していくかどうかの違いです。
これも政策的判断によりますが、例えば会社の配当政策を事業部門に落とし込む際に、成長性のある事業から配当するという考え方を反映させるとすれば、事業資本金勘定を増やすことで社内配当計算の元本を増やすといったことが可能です。この方法を発展させれば社内金利や社内配当金などの計算にも会社の資本コストを反映させることができるため、事業部門により資本コストへの意識を持ってもらうことが可能です。

制度決算上は、これらを全て本支店勘定であり合算し内部取引として相殺消去すれば何も残りませんから、会社の簿記体系の中で、管理会計と制度会計を両立できることになります。
また、減価償却はあらかじめ予算でほぼ分かっている数字ですから、全社の減価償却を制度決算でまとめて計上すれば、制度上の償却費と予算上の償却費の違いを把握できます。


04年10月17日