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帳簿体系

【私的草稿】通信事業会計

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帳簿体系とは

帳簿体系とは、決算書と個々の取引事象を有機的に繋ぎ合わせ、決算書から原始取引までを追跡できることが担保されるように作られた、帳簿間の連携の仕組みです。もう一つは、バリューチェーンを通じた取引の流れを相互連携によって担保することも求められます。

例えば、通信事業者でよく見られる「契約⇒役務⇒請求⇒回収」というプロセスを考えてみましょう。

契約

契約には、契約台帳というものがあって、顧客属性(個人法人の区別、住所、名義など)や利用できるサービスや料金、値引条件などがストックとして管理されています。このストックは、受注活動からの情報あるいは顧客からの解約申し出がタイムリーにくることで、情報の鮮度が確保されることになります。

役務

役務には、月単位で課金するサービスや、トラフィック単位で課金するサービスなどいろいろありますが、全ては利用明細という形で管理されることになるでしょう。契約台帳との関係では、契約の存在しない取引は利用明細には掲載されてはならないことになります。通信サービスではネットワークにアクセスする際に何らかの形で契約した利用者かどうかを確認する「認証」という行為が行われます。したがって架空の利用データは契約明細との照合によって検証できることになります。また利用明細は請求データの根拠ともなります。

請求

請求は、利用明細に基づき契約された締め日において請求額が確定され、顧客への請求がなされます。これにより売掛金台帳へどういう契約によるどういう利用がいくら請求されたかということが管理されます。同時に利用明細の方では「請求済み」という管理がなされます。

回収

顧客による支払は、売掛金台帳に記録されますが同様に預金出納帳のほうにも売掛金の回収という形で入金記録が残ります。

簿記の初歩をかじると、「請求行為」があると、(借方)売掛金(貸方)売上、という仕訳を切るように書いてありますが、この間には利用明細と売掛金台帳との連携が行われている必要があります。もちろん回収についても同様のことが言えます。

図を挿入

図を見ると分かりますように、決算書の基礎となっている総勘定元帳が一連の帳簿体系によって、バリューチェーンにおける全てのイベントと何らかの形でリンクしていることが分かります。実はこの帳簿体系こそがITによる会計業務における処理の流れの基本になっています。何の目的でその帳簿を用意するか、また何と何とを繋いでいるものなのかをしっかりと設計する必要があります。

2004年10月11日


最終更新時間:2007年11月24日 18時13分44秒