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簿記と会計システム

【私的草稿】通信事業会計

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このページの見出し構成


1-6-2 簿記と会計システム

会社は決算書だけでなく、(合計)残高試算表、総勘定元帳、補助元帳などの諸帳簿を、取引の事実を立証する証憑類(契約書、物品受領書、請求書、内部の決裁文書など)とともに整然と整備して一定期間保管することが法律によって定められています。帳簿類については紙ではなく電子媒体に保管する方法も認められています。

帳簿の具体的様式については定まったものはなく会計慣行に委ねられているわけですが、最低限の要件としては以下のことを備えておく必要があるでしょう。

      • 対象とする会計期間や取引日がわかること
      • 責任組織ないし責任者(どの組織の誰が管理している帳簿なのか)がわかること(アカウンタビリティ)
      • 決算書から個々の会計事象までをスムーズに追跡できること(帳簿間の連携)
      • 個々の会計事象から決算書までの集計過程が明らかであり相互に矛盾がないこと(3の裏返し)
      • 勿論、処理した勘定科目や金額が記載されていること

要は誰が見ても何が書いてあるか分かるということが大原則です。

会計業務がシステム化されるに連れて、画面で何でも処理するようになってきていますので、逆に紙の帳簿がおろそかにされるケースが見られます。

データがコード化されることで帳簿の記載がコードで表現されたり、サマリー合計欄のない取引ダンプリストのような帳簿や、元帳金額と補助簿の金額が同期していないなどは、明瞭さや正確さを欠いているため、決して良いことではありません。

会計帳簿は比較的広範囲で利用されるため、その都度、勘定科目コードブックを参照しなければならないといったようなちょっとした不便さであっても、会社全体の業務の非効率(エラーに気が付きにくいとか、余分な作業といった見えないコスト)を招いていることになります。そもそも日常業務の中で、何かのリファレンスを見なければ仕事ができないようなことでは、業務効率が悪くなるため、人の気持ちとしてついつい「適当」に処理しようという気持ちになってしまうことは、あながち否定できません。これを「まじめにやるべきだ」という精神論で乗り越えるか、少しずつでも改善していくかは、そもそも正しい答えがないところなので、組織文化(組織構成員の日常行動を暗黙的に支配する価値観)が現れるところです。

エラー等の発見が遅れると、最悪の場合は不正を見逃したり決算の誤りにつながりますし、色々なことが後になって分かったとしても仕事の手戻りが多く発生してしまい、現場は非生産的な余分な作業を強いられることになります。そういった意味でも、作業を単純かつ分かりやすくするためにシステムや帳簿を改善するというのは、経理部門の大きな責任の一つとなります。

2004年10月11日


最終更新時間:2007年11月24日 19時06分50秒