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ネットワークとは

【私的草稿】通信事業会計

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ネットワークとは

そもそもネットワークとは何かと問われて、あらためて考えてみると、これが実に答え難い問いかけであることに気が付きます。我々は普段から何気なく「ネットワーク」という言葉を使用しています。ネットワークと言えば通信ネットワークを想像しますが、他にも電力の供給ネットワーク、鉄道輸送ネットワーク、航空輸送ネットワーク、高速道路ネットワーク、ガス供給ネットワークなど、色々な使われ方があります。コンビニの配送流通網もネットワークといえますし、宅配便の配送網もネットワーク、銀行のオンラインもネットワークですし、銀行同士を結んで他行送金できるようにしてある仕組みもネットワークです。人の繋がり(人脈)をヒューマンネットワークと言ったりもします。

バラバシ(Barabasi, 2002)は、ネットワークのことを、天体宇宙の構成から、地球環境、子供のおもちゃ、経済の仕組み、人間社会、生命体、伝染病、こおろぎの鳴き声まで、いろいろな「もの」や「こと」を、「ネットワークの法則」が支配していると説明しています。バラバシの説明を要約(できているかどうか心配ですが)すれば、ネットワークとは

      1. 何かと何かが繋がって(影響しあって)いること
      2. 面的ないしは立体的な広がりを持つこと
      3. そういったことを人間が様相として捉えていること

を含んでいます。

まず、1の「何かと何か」がという点についてですが、「都市と都市とを結ぶ高速道路」「君と僕とは友達だ」「太陽と地球との引力と遠心力」のように、ネットワークが複数の何かが繋がりや影響を持っているということは、容易に理解できるでしょう。

2の面的ないしは立体的というのは、単に当事者同士が繋がっていてそこで関係が完結するのではなく、それぞれの当事者は別の当事者とも繋がっており、広がりを持ったものであるという意味です。一般道路と繋がる高速道路、恋愛における三角関係、惑星同士の引力の影響を考えれば、繋がりが単独で存在していないということは理解できると思います。

3は、太陽系、人間関係、道路網のように一つの固まりとしてあたかも意味があるかのように人間がそれを捉えているという点に特色があるということです。科学の立場で物事を説明しようとするときには必ず説明の対象が何であるかを明らかにしなければなりませんが、例えば人間関係一つとっても、夫婦、家族、職場、友人など、どこまでが範囲なのかを定めることは説明者の目的との相対的な関係によって定まるため非常に難しい問題です。

このような特色を持ったネットワークですが、上記で出てきた当事者をノードと言い、当事者同士の繋がりをリンクと言います。ノードとは、結び目とか結節点という意味です。リンクとは上記の結節点間の繋がりを言ってもよいし、終端点と結節点との繋がりをいうこともできます。ノードの中には、他のノードと比較すると目立って多くのリンクを持つものが存在することがありますが、これはハブと呼びます。シカゴのO'Hare空港やダラスのFort Worth空港をハブ空港と呼んだりしますが、国際、国内あわせて色々な他の空港と繋がっているため、一日の離発着数が他の空港と比べて特に多いからです。また、人間関係において「名前は知っている」という程度から「幼なじみ」「好敵手」などのように、リンクにも相対的に太い(ないしは強い)リンクと、細い(ないしは弱い)リンクとがあることは、容易に想像できます。

初稿:2004年10月03日


最終更新時間:2007年11月25日 14時02分03秒