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自然独占と産業規制

【私的草稿】通信事業会計

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自然独占と産業規制

以上のような経済的性質を論拠として、ネットワーク産業では従来から「自然独占」が起こりやすいとされてきました。自然独占とは、当初複数の市場参入者があったとしても、それぞれの合理的な投資行動の結果として最終的には(どのような?長期平均費用が最も低い)一社だけが市場に残り他は淘汰されてしまうという考え方です。

自然独占の結果、産業内で競争を促進することは非常に無駄な投資が発生するために、むしろ参入規制を図りながら産業を保護して、サービス水準を維持したり不当な価格設定をさせないように規制するほうがよいという考え方です。

なんとなく合理的に聞こえるこの考え方には、色々な問題があります。

 実際の可能性:そもそも本当に自然独占を招くのかという議論。

市場では、全く同じ財やサービスがそのまま継続して供給されることはありえません。人間は飽きっぽいものですから同一のサービスに満足しつづけることはありませんし、意識するとしないとにかかわらずよりよいものを常に求めています。供給者もそれに応えるべく新製品を開発したり、新たに市場参入します。いま何かのサービスがあって、それを凌ぐサービスが提供されれば、必ず価格とサービス品質とのトレードオフによって、なんらかの市場の分散が行われるはずです。従って、独占状態はなんらかの形によって保証されない限り、容易に継続できるものではありません。もちろん自由国家には独占禁止法がありますから、独占そのものを制度的に保証することはあり得ない訳で、事実上の独占をもたらす参入障壁を設けることが通常とられる方法です。

 市場画定の問題:独占とは一体なにをもって独占というのか。

企業はオンリーワンを目指す行動を採る。競争の結果、得られる独占は新たな参入が邪魔されていない限りにおいて、必ずしも悪いものではない。

 資本財の売買の可能性:

「無駄な投資」とは一体なんでしょうか。結果論として使われないものに投資がなされることは、自由経済のもとでは極々当たり前の話です。研究開発に100%の成功等ありえませんし、投資には必ずリスクが伴うものであり、たとえそのリスクが顕在化したとしても、それは投資する立場の合理的行動の結果であって、それが「無駄な投資」とは言えないわけです。たとえ、当初の参入者が撤退するとしても投資された資本財については、撤退時に低廉で他の参入者に譲渡されることで、新たな参入者は低い投資額で期待リターンがたとえ変わらないとしても投資効率としてはそれだけ改善されるはずです。当初の投資者は撤退するものの、市場の投資リスクがそこで確定されたとも考えられるわけですから、投資リスクを軽減するという大きな役割を果たしてきたと言える訳です。

 投資リスクの分散:

 競争なきところの効率性、特に資源分配の見地から:

 ネットワーク経済ではいわゆる価格均衡理論が成立しない


最終更新時間:2007年11月25日 14時14分22秒